TeX を賢く使いましょう!
ブログを始めてまだ3週間あまりしか経っていないが、このブログの記事が予想以上に好評をいただいているようで、僕も非常に嬉しい。
とりわけ反響が大きかったのが TeX2img に関する以下の2つの記事。
- 速報:TeX2imgのWindows版、5年ぶりの更新 (2014-09-15)
- PDFのトリミングとベクター画像抽出 (2014-09-15)
これらの記事は TeX2img 開発者の寺田さんや阿部さんに紹介していただいたほか、TeX Wiki からもリンクしていただいたようだ。LaTeX ユーザーの方々から有用な情報だと考えていただけたなら、非常に光栄である*1。
さて、今のところ僕のブログでは以上の記事も含めて LaTeX に関する記事が圧倒的に多い。しかし、僕は「何もかも LaTeX で書かなければならない」という主義ではない。僕の考えは
LaTeX や Word などの様々なツールをまずは知り、その良さを最も引き出せる形でそれらのツールを活用する
のが最善だ、というものだ。実際、僕のブログでも
- TeXを使うべきか、Wordを使うべきか (2014-08-26)
で書いたように、分野によっては論文を (La)TeX でないとそもそも受け付けない場合がある一方、逆にそもそも (La)TeX など想定していない分野も存在する。自分が所属する分野のコミュニティで、どの方法が標準であるかを知り、それに従うのが最も賢いと思う*2。
ちなみに僕の場合は、大学の卒論を LaTeX で書くつもりはない。というのは、所属している研究室の専門分野では複雑な数式をそもそも必要としないし、周りで LaTeX を使える人もたぶん少ないので加筆修正してもらう場合に Word の方が便利だからだ。しかし、(La)TeX というツールをそれなりに使いこなせる能力を身につけておいたことが全く役に立たないわけではない。(La)TeX を組版プログラムとして直接的に使うのではなく、PDFのトリミングとベクター画像抽出で述べたような PDF 操作ツールとして僕が使用していることもその一例として挙げておく*3。
というわけで、賢く TeX を使いましょう!
*1:僕が TeX2img に関する2つの記事を公開した時点では、TeX Wiki に「TeX2img」という項目すら存在しなかったような気がする。美文書第6版にも収録されていながら、こちらにも TeX2img という単語はわずか1ページにしか出現しないとは、もったいない!
*2:だから、自分の分野やコミュニティを棚に上げてあたかも一般論であるかのように「TeX が良いよ」とか「TeX は面倒だよ」とか、逆に「Word はおせっかいだ」とか「Word 嫌い」とか議論するのは筋違いだと僕は思う。また、この点についてコメント欄で議論するのはご遠慮ください。
*3:件の記事をよく読んだ方は気づいたと思うが、実は
「トリミング」や「ベクター画像抽出」において重要なのは (La)TeX や TeX2img ではなく、Ghostscript である!
しかし、LaTeX を GUI で使用する統合環境やその使い方は多くの方が知っているのに、Ghostscript の扱い方を知っている方がそれに比べて非常に少ないのは驚きである。あれだけ TeX と一緒にインストールされているはずなのに「バックグラウンドで知らないうちに動くだけ」なのはもったいない。TeX2img の動作を手本にもう少し学んでみるのもよいかもしれない。