コミュニティ版 pLaTeX / upLaTeX 2017/05/05 版の解説 (1)
先日、コミュニティ版 pLaTeX と upLaTeX を更新しました。TeX Live 2017 のリリース時に標準でインストールされるバージョンはこの 2017/05/05 版となります。本家 LaTeX も最近アップデートされましたので、platex や uplatex コマンド起動直後のバナーは以下のように表示されます。
- pLaTeX の場合:
pLaTeX2e <2017/05/05> (based on LaTeX2e <2017-04-15>)
- upLaTeX の場合:
pLaTeX2e <2017/05/05u01> (based on LaTeX2e <2017-04-15>)
今回は半年ぶりのアップデートで、かなり多くの修正・改良を加えてあります。本記事では、この修正点について解説します。
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TeX Live で使えるゆきだるま☃のまとめ
これは TeX & LaTeX Advent Calendar 2016 の 23 日目の記事です。昨日は __rinx さんでした。明日は golden_lucky さんです。5 日目と 7 日目に続いて今年 3 回目の参加となります。
2016 年も残すところあとわずかになりました。師走の仕事納め、学生の皆さんは卒論の大詰めを迎えていることでしょう。特に LaTeX で卒論を書いている皆さんは、さぞかしゆきだるま☃が恋しくなっていることと思います。今日はそんな皆さんに朗報です!
学生の方に限らず、LaTeX 文書を書いていると、無性にゆきだるま☃が欲しくなった経験は誰にでもあるでしょう。そんなときに使える「TeX Live で使えるゆきだるま☃」を一挙に紹介します。
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pTeX の \dtou と ascmac パッケージの boxnote 環境の話
これは TeX & LaTeX Advent Calendar 2016 の 7 日目の記事です。一昨日(5 日目)に続いて 2 回目の参加です。昨日は doraTeX さんでした。明日も doraTeX さんです。
今年 2016 年は、pLaTeX と upLaTeX が「コミュニティ版」として生まれ変わった記念すべき年です。また、TeX ユーザの集い 2016 での北川さんの講演が「TeX Live 2016 の pTeX 系列のプリミティブ」という題でした。なんだか、2016 年はなにかと「pTeX まわりのあれこれ」が話題になった年だったように思います。
そこで、今回は pLaTeX や pTeX に絡んだ話題です。
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TeX Live をホンキで語る ― 「TeX Live ってなんだろう?」
これは TeX & LaTeX Advent Calendar 2016 の 5 日目の記事です。昨日は tex-ut-tex さんでした。明日は doraTeX さんです。今年はあと一回、7 日目にも参加しました。
最近では、TeX Live のインストール手順のわかりやすい解説がたくさん世に出ています。内容も「最近はデフォルトの設定で簡単にインストールできますよ!」という事例紹介が多く、昔に比べると日本語の TeX 環境を整えるのが楽になったことの表れで好ましく思います。しかし同時に、TeX Live が成長し大きくなるにつれて、全体を俯瞰することがほとんど不可能になってしまったように思います。
たとえばこんな疑問を持ったことはないでしょうか。
- なんでパッケージは頻繁に新しくなるのに、LuaTeX は(既に v1.0 がリリースされているはずなのに)まだ 0.95.0 なの?
- パッケージを作ったんだけど、TeX Live に入れてもらうにはどうしたらいいの?
- プログラムのバグを見つけたんだけど、ソースコードはどこにあるのかな?
今回は、成長を続ける TeX Live の裏側、特に「TeX Live の開発者たちの行動」や「(pLaTeX やなんとかパッケージのような)一般の開発者と TeX Live の中央の開発者との関係性」に焦点を当てて、普段は意識しない TeX Live そのものに注目して「ホンキの解説」を試みます。開発活動について知りたい人にとっても、ちょっとカスタマイズしたい一般のユーザの方にとっても知って損はしない情報だと思います。
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新しい pLaTeX / upLaTeX 2016/11/29 版の解説
昨日リリースした最新のコミュニティ版 pLaTeX / upLaTeX (2016/11/29) について解説します。
フォーラムにおける告知は forum:2081 です。
今回はめずらしく機能拡張にあたる変更が入っている点が魅力です。数式アルファベットを多種類(ローマン、イタリック、タイプライタ、ボールド、ボールドイタリック、カリグラフィ、黒板、…)使用したい場合にありがたい変更なのではないでしょうか。
目次
- 1. 数式ファミリの上限を 16 から 256 に増加(機能拡張)
- 2. 標準クラス jclasses / ujclasses の本家 classes への追随
- 3. plext のバグ修正と本家 LaTeX への追随
- 参考:数式ファミリの上限についての詳細分析
なお、前回の記事 (2016/09/03, 2016/09/08) はこちら。
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