ケクレのベンゼン150周年!
前回の2015年最初の記事では「国際光年」に関するサイトをいくつか紹介した。今回はもう一つ、化学の歴史にとって重要な年であるので、もう一本書かずにはいられない。
それはもちろん
ケクレがベンゼンの構造式を提唱してから150周年
ということである。
(図は代表的な切手3枚:Benzene - 紙の上の分子たち より)
すでに各所で関連論文や記事が公開されているので、以下でリンクしておく。あえて本ブログで解説しなおすことはせずとも、夢で出てきた蛇からベンゼンの構造式を考え出したという逸話はあまりにも有名。
ブログ記事など
エッセイなど(Free Access!)
論文など(Free ではないもの)
- A molecule with a ring to it - Nature Chemistry
- It Began with a Daydream: The 150th Anniversary of the Kekulé Benzene Structure - Angewandte Chemie International Edition
関連したツイートも既に多数。素材として参考になりそう。
ケクレが1865年1月にベンゼン環の構造を提案してもうすぐ150周年とのこと。A molecule with a ring to it http://t.co/20MVJJWLFX http://t.co/R3i4oBZXuO
— Ryota IINO(飯野亮太) (@ryotaiino) 2014, 12月 23
【2015年化学あれこれ】2015年はケクレがベンゼン環を考案してから150周年! http://t.co/7MNJ2d0tNG pic.twitter.com/w5fNzcidFA
— Chem-Station (@chemstation) 2015, 1月 2
ケクレの蛇の夢に関する日本語の論説としては,以下も有名。 山崎幹夫, 尻尾をくわえた蛇, 現代化学, 264, 42 (1993) 山口達明, ケクレは本当に夢をみたか, 化学, 49, 24 (1994)
— Yusuke Terada (@doraTeX) 2015, 1月 5
ケクレといえばケクレンを連想する。しかしケクレンが初めて合成されたのはもっと後の1978年である。原著論文はドイツ語と英語で出ている(いずれも Free ではない)。
- Benzoide versus annulenoide Aromatizität: Synthese und Eigenschaften des Kekulens - Angewandte Chemie
- Benzenoid versus Annulenoid Aromaticity: Synthesis and Properties of Kekulene - Angewandte Chemie International Edition in English
この新化合物が、ベンゼン分子の構造を解明したケクレの功績を称えてケクレンと名付けられたのである。
で、昨年の TeX & LaTeX Advent Calendar でケクレンが話題になったのを思い出す。というわけで、ここで「LaTeX による化学構造式の描画」全3通りを試しておく。
- chemfigパッケージによる構造式描画(doraTeX さん:12日目)
- LaTeX - XyMTeX 美構造式作成入門(TeX ゼミ さん:20日目)
- 誰でも簡単! 化学構造式を LaTeX に取り込むパッケージ(8日目)
chemfig による出力は doraTeX さんのソース があるので解説は割愛。XyMTeX についてはとりあえずこちら(サブブログ)に載せた。自作パッケージ chemobabel についてはソースを例示するまでもないので割愛。というわけで、すべてを一度に盛り込んだ TeX ソースを Gist に置いておく:
以上、ケクレ関連の話題。